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Japón ·

操り人形とスーツ姿の悪魔――Mike Sain't Louis「Another Narcissist」のミュージックビデオを読み解く5つの見どころ

「最初のAIシンガーソングライター」を名乗るマドリードのインディー・オルタナティブ・アーティストが、自作の映像に込めた「繰り返されるパターン」を語る

黒い巻き毛と短いあごひげの男性が、黒いベストと袖をまくったプラム色のシャツを着て、腕のタトゥーを見せながら、赤いビロードの客席が並ぶ劇場の中に立ち、右の方を見ている。背後には燭台に照らされた金色のボックス席がある。
赤いビロードの客席と金色のボックス席に囲まれた劇場に立つMike Sain't Louis。「Another Narcissist」の映像もまた、劇場的な仕掛けに満ちている。

マドリード、2026年10月25日

縞模様のパラソルが並ぶ浜辺、砂浜の脇に停められたクラシックカー、そして木製の操り板を決して手放さない上品な紳士。その糸の先には、白く塗られた顔の人形がぶら下がっている。Mike Sain't Louisの「Another Narcissist」のミュージックビデオは、こうして始まる。約3分間、描かれるのは「動かす者」と「動かされる者」の関係だ。

Mike Sain't Louisはマドリードを拠点とするインディー・オルタナティブ・アーティストで、自らを「最初のAIシンガーソングライター」と呼ぶ。歌詞はすべて本人が書き、音楽とボーカルはAIで制作している。プロデュースの判断や映像の編集も彼自身の仕事だ。ブログでこの映像を一場面ずつ振り返った彼の言葉をもとに、見どころを5つ紹介する。

1. 「Another」というため息

ビデオは2025年7月11日(金)にYouTubeで公開された。長さは3分13秒。三部作の2作目「Ojalá se pudiera viajar a GAYFOLK」に収められ、全273曲のシングルのうち106番目にあたる。公開時に彼が添えた言葉は短い。「また一人。二度目になると、パターンがわかる」。これは一人のナルシシストの物語ではない。もう一人に出会い、ステップを踏み始めた瞬間に、そのダンスをすでに知っていると気づく物語だ。

2. 浜辺に立つスーツ姿の悪魔

最初のカットはポスターのような構図だ。黒いスーツに赤いポケットチーフ、髪の間から小さな角をのぞかせた長身の男が、両手で操り板を持ち、口の端だけで笑っている。Mikeが気に入っているのは、悪魔がきちんとした身なりをしている点だ。「しっぽと三叉槍を持った相手には誰も近づかない。近づくのは、スーツと広告のような笑顔の人だ」。角は小さく、よく見なければ髪型にしか見えない。

3. 顔を白く塗られた人形

主人公は人形だ。白い顔、片側に流した黒い髪、泣いたあとのような目。ビスケット色、焦げたオレンジ、オリーブグリーン、紺と、衣装は場面ごとに替わるが、糸はいつも同じ。家を替えるように服を替えても、操る手は変わらない。

4. 抵抗しない体

Mikeが今見て一番胸を突かれるのは、人形が決して本気で抗わないことだという。歩き、導かれ、置かれた場所にじっとしている。「縛られているのではなく、吊られている」。外から見ると、自分の意思で動いているように見えてしまう。そこが一層つらい。

5. 描かれた涙

いくつかの場面では、頬に黒い線で涙が描かれている。本物の涙ではない。他人に施された化粧の涙だ。悲しみさえも誰かのショーの一部であるかのように。Mikeは専門家の助けを得ながら、ナルシシスティックなパートナーとの年月を音楽に変えてきた。心理的虐待とその心への影響を可視化し、同じ経験をした人が「見てもらえた」と感じられるようにするためだ。

PLANETA GAYFOLKという世界

この映像は、彼のプロジェクトPLANETA GAYFOLKのなかでも、とりわけ暗く、同時にとりわけ演劇的な一角だ。約2年をかけて積み上げた273曲のシングルと280本以上のミュージックビデオは、恋愛、失恋、元恋人、噂好きの隣人、スペインのクィアな日常、そして心の健康を、ユーモアとキャンプな感性で描いてきた。エレクトロポップからコプラ、オルタナティブ・ポップからバラードまで行き来し、スペイン語のほか英語、フランス語、ポルトガル語の曲もある。2024年には「Tan Cateto」がTikTokで話題になり、多くの人が彼を知るきっかけになった。

三部作「Descubierto un nuevo planeta llamado GAYFOLK」「Ojalá se pudiera viajar a GAYFOLK」「El día de la liberación」は、誰もがありのままに生きられる惑星への一つの旅として構想されている。

日本の読者へ

人形浄瑠璃の国の観客なら、操る者と操られる者の構図にすぐ気づくだろう。この映像は言葉がわからなくても読める。そしてMikeは、AIが何を担い、何を担っていないかを最初からはっきり伝える。「言葉とアイデアと演出は自分のもの」。その率直さも、彼を知る入口になるはずだ。

視聴とダウンロード

全楽曲は https://mikesaintlouis.com で歌詞付きで無料で聴け、ダウンロードできる。SpotifyやDeezerなど主要プラットフォームでも配信中。

Mike Sain't Louisについて

マドリードのインディー・オルタナティブ・アーティスト。作詞家、作曲家、音楽プロデューサー、アートディレクターであり、自身のインディーレーベルMIKE SAIN'T LOUISのCEO。約2年をかけて273曲のシングルと280本以上のミュージックビデオを発表してきた。

プレスお問い合わせ

info@mikesaintlouis.com / https://mikesaintlouis.com / Instagram @planetagayfolk