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「サッカー、見た?」に答えられなくてもいい――Mike Sain't Louis「No me gusta el fútbol」を聴くための4つのステップ
「初のAIシンガーソングライター」を名乗るマドリードのインディー・オルタナティブ作家が、月曜朝の“男らしさテスト”を笑い飛ばす。ジャケットから入る実践的リスニングガイド

マドリード、2026年10月25日 月曜の朝9時15分、オフィスのコーヒーマシンの前。熱い紙コップを持った同僚が聞いてくる。「昨日の試合、見た?」。これは質問ではなく税関検査だ、とMike Sain't Louisは書く。正しく答えれば通過、間違えれば一週間ずっと妙な目で見られる。
マドリードを拠点に活動するインディー・オルタナティブの作家で、自らを「初のAIシンガーソングライター」と呼ぶ彼は、すべての歌詞を自分で書き、音楽とボーカル表現はAIを制作ツールとして作り上げる。そのブログの新しいエッセイが取り上げるのが、自作曲「No me gusta el fútbol(サッカーは好きじゃない)」だ。以下、この曲を楽しむための実践的な手順を紹介する。
ステップ1 歌詞を探す前に、ジャケットを見る
最初に知っておきたいのは、この曲の歌詞がまだ公式サイトに掲載されていないことだ。Mike本人も「歌詞を引用したり内容を語ったりするのはズルになる」として、エッセイではタイトルとジャケットだけを語っている。だから入口はジャケットになる。
写っているのは、ひげとタトゥーのいかにもタフな選手風の青年。目の下にはアメフト選手のアイブラック、背後にはスタジアムの照明。ここまではスポーツドリンクの広告のようだ。だがよく見ると、モヒカンはショッキングピンク、背番号80のシャツもピンク。そして腕に抱えているのはボールではなく、きらきらのドレスを着た金髪のバービー人形だ。決勝後のトロフィーのように、大切に抱えられている。
ボールは男の子が5歳でもらうおもちゃ。人形は見つかると取り上げられるおもちゃ。男らしさの殿堂であるスタジアムのど真ん中に、禁じられたおもちゃを置く。それがこのジャケットの冗談だ。
ステップ2 タイトルを声に出してみる
「No me gusta el fútbol」。スペイン語で5語、飾りのない告白だ。Mikeによれば、スペインで男性がこれを口にすると、ちょっとしたカミングアウトのような空気になるという。笑う人、信じない人、「ワールドカップも?」と聞き返す人。答えは「ワールドカップも」。
日本でも、職場や親戚の集まりで「好きなチームは?」と聞かれて言葉に詰まった経験のある人は、この5語の重さが少しわかるはずだ。
ステップ3 「定番の三つの返し」を思い出す
エッセイには、試合を見ていなくても乗り切れる万能フレーズが登場する。「最後はハラハラしたね」「また審判か」「なんであの若手をもっと早く出さなかったのかな」。どの試合のどのチームにも使える三つの言葉だ。
Mikeは言う。「サッカーに罪はない。罪があるのは、日曜のゴールを誰が決めたか知っていることが“本物の男”の条件だという考え方の方だ」。
ステップ4 別の曲と並べて聴く
同じテーマは、第一作のタイトル曲「Descubierto un nuevo planeta llamado Gayfolk」にも出てくる。出会い系アプリの自慢屋が言い放つ一節だ。
「Tienes pluma y eres afeminado, / Yo soy deportista y un buen macho」(おまえはなよなよしてる、俺はスポーツマンで本物の男だ)
もちろんこれはMike自身ではなく、笑いものにするための登場人物の台詞だ。「なよなよ禁止」「スポーツ好きで目立たない人」――アプリのプロフィールでおなじみの言葉。月曜のコーヒーマシンと同じ論理が、恋愛の場まで追いかけてくる。2曲を続けて聴くと、Mikeが何を笑っているのかがよく見えてくる。
日本のリスナーへ
この曲は、サッカーそのものを否定する歌ではない。Mikeが問題にしているのは、子どもの頃にボールを渡され、本当はテレビの衣装やユーロビジョンの振り付けやいとこの人形を見ていたのに、それを隠すことを覚えてしまう、という経験だ。「男の子ならこうあるべき」という空気は国を選ばない。クィアの人にも、そうでない人にも、どこか覚えのある物語として届くだろう。
聴き方のヒント
一度目はジャケットを眺めながら、二度目はエッセイを読んだあとで聴いてみてほしい。全曲が https://mikesaintlouis.com で無料で聴け、ダウンロードもできる(公開済みの曲は歌詞つき)。SpotifyやDeezerなど主要プラットフォームでも配信中。ブログの全文はこちら:https://mikesaintlouis.com/blog/el-examen-del-lunes-fingir-que-sabes-quien-gano-la-liga-y-otras-pruebas-de-hombria
Mike Sain't Louisについて
マドリードを拠点とするインディー・オルタナティブ作家。「初のAIシンガーソングライター」を名乗り、作詞・作曲・音楽プロデュースを手がけ、自身の独立レーベルMIKE SAIN'T LOUISのアートディレクター兼CEOを務める。約2年をかけて273曲のシングルと280本以上のミュージックビデオからなるPLANETA GAYFOLKを築き、2024年には「Tan Cateto」がTikTokで話題になった。
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メール:info@mikesaintlouis.com ウェブ:https://mikesaintlouis.com Instagram:@planetagayfolk